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兵庫県住宅供給公社は県下 180団地自治会と「駐車場管理委託契約」を締結し事務の一部を自治会に委託している。(平成17年7月12日付け毎日新聞夕刊)
上は例の傷害事件のあと毎日新聞神戸支局が兵庫県住宅供給公社(本社)のF管理課長(当時)などから取材した記事だが、委託事務費は委託業務の対価だと語る同一人物がNあての手紙では目的外流用を強弁しているのである。
この手紙の趣旨は例の傷害事件公判における公社証人の証言と脈絡を通じている。
兵庫県住宅供給公社職員の"背後霊"のような発言が、さきの傷害事件のBackgroundにあった。
公判に出廷したH証人は、
「私は、平成17年05月20日前後、被告人と、兵庫県住宅供給公社神戸事務所で会いました。(中略)被告人と会ったときに、カークラブの管理運営費(委託事務費)のことで話したことがあります。」とのべている。そして委託事務費を、
「駐車場の維持管理のための事務費、通信費、交通費等に使われます。余った残高は、自治会全体の費用となります。....余った残高をカークラブの部員や役員に分配する取り決めはありません。筋違いと言うものです。」とのべたあと、
「被告人に会ったときに(委託事務費の)繰越金を直接カークラブの役員の報酬とすることには問題があります、と説明しました」と。当該契約書第4条で委託事務費は「委託業務の遂行のための事務費」すなわち労務提供費であると明記されている。
冒頭記事中の「駐車場清掃などの対価として云々」も取材に応じたさいの公社幹部のコメントである。
「役員に分配する(特別な)取り決め」がないと証人は言うが、当該契約書にそんな夾雑物は必要性がないのだからあたり前の話だ。証人の証言こそ「筋違いというもの」でまさに "天に向かって唾(つば)する" 発言である。このとき証人は上記証言の証拠として県営住宅の住人ならだれもが持っている「住まいのしおり」の44ページを示した。
つぎはその全文である。以上がすべてでここには委託事務費の"委"の字も見あたらない。これがどうして委託事務費が自治会費に流用される根拠となるのか?
そもそも肝心の「契約書」をさしおいて関係のない「住まいのしおり」がどうとか、本末が転倒しているのである。自治会費は自治会員が自治会運営のために拠出するいわゆる共益費であり、いっぽうの当該委託事務費は地方公共団体の兵庫県が県営住宅駐車場の管理委託費として支出する目的の特定された公金である。
県から兵庫県住宅供給公社に運営実務が委託されても目的を逸脱した公金の流用は公私混同だという事実に変わりはない。公社証人は委託事務費(公金)が一任意団体の運営費になると根拠も示さず無責任に放言しているが、これは公金の流用を言いかえただけの話だ。
赤いサクランボ(桜桃)の実は水気があって牛肉に似ているが食肉ではないように委託事務費と自治会費は互いに接点のない平行線のように出自も目的もちがう。
証人は委託事務費と自治会費を見かけで短絡して混同しているのである。互いに異質な委託事務費と自治会費の合算(ドンブリ勘定)が可能とすれば、それは対価にたいする証人らの詭弁と非常識を当の労務提供者らの誤解が担保しているかぎりにおいてである。
要するにこれは「由らしむべし、知らしむべからず」の兵庫県住宅供給公社版だ。
委託事務費の趣旨を公社証人の"錯誤"のまま受け入れて、委託業務の労務提供者たちが "知らぬが仏" でありつづければ、証人(公社?)の詭弁の有効期限は更新されつづけるのである。
兵庫県住宅供給公社の証人はここで
「委託事務費を自治会費に組み入れた場合」と、
こんどはさきの(委託事務費は自治会費になるという)結論をことわりもなく仮定の前提条件に後退させ
「定期的な清掃費や樹木の手入れなどの費用に使用すると読めますが」
と都合のいいように誤解したうえで
「そのとおりです」
と手前ミソで断定している。
はじめに「AはB」だと言ったその舌の根もかわかぬうちに、こんどは「AがBなら」AはBだと卑劣な循環論法で逃げを打っているのだ。
結論を前提にもどして同じ結論をみちびく、親が自分の生んだ子から生まれるというわけである。
こんなナンデモあり、「他人のものは自分のもの」式の再帰的イカサマ論理が通用すれば、世の中で苦労はいらない。
「トラやクマを犬(のカテゴリー)に入れたら、(トラやクマは)犬と読めますが、そのとおりです」、
「おとなりの収入をわが家の家計に組み入れた場合、それはわが家の費用となります」というのと同じで、まさに抱腹絶倒の茶番である。
F氏の発言やH証人の証言は、
兵庫県住宅供給公社から委託業務遂行の対価として委託事務費を受け取った自治会側は、その対価属性を自治会費のなかで洗浄してふたたび工事費用等に流用せよ、というご託宣と受け取れる。労務費として支払われたはずの委託事務費がふたたび委託業務関連費用などとして循環するのだから、これは委任者サイドにとってナントカの丸もうけである。
これは春風亭柳橋の落語「花見酒」と似ている。兄貴と辰公が一貫文の銭をたがいにやり取りりしながら樽酒を空にしてしまうあの噺(はなし)である。
「花見酒」では売り手と買い手を交互に演じる二人のあいだを一貫文が酒代となって往復するうちに樽酒が空になった。
委託業務についても受任者側の収入(委託事務費)がその身分を忘れて費用の扮装で行ったりきたりすればたちまち対価は空になる。「花見酒」では商(あきな)いに失敗したものの二人は樽酒をいっしょに飲みほしたのだが、委託事務費の場合は損をするのは自治会側と決まっているのである。
これは堅気(かたぎ)が食われる極道(ごくどう)の世界の話ではない。