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兵庫県住宅供給公社の代表たちは例外条項に異様な執着を見せる。Nが平成16年10月に公社神戸事務所で「黄線引き費用」は公社の負担ではないかと聞くと「自治会さんが委託業務に必要なら委託事務費を工事費用に使うのはええのんとちゃいますか」と、のちに県議会控え室で代表たちが言ったことと同趣旨の応答だった。 ちょうど「駐車場管理委託契約書」のコピーをもらったときだったので理由をたずねたら、やっぱり上の発言が第3条4項の「その他、駐車場運営に必要な事項」に当てはまると言う。
冗談ではない。例外条項をそんなに手軽に扱えば他の契約条項はみんなしり抜けになって空文になる。
とNが話をしたとき、かれら(二人の職員)はうなずいて聞いていたのだが、公社代表らにとって例外条項はやはり伝家の宝刀になるらしい。つぎは兵庫県住宅供給公社と県営住宅自治会で締結されている「駐車場管理委託契約書」の関連文書「県営住宅駐車場の管理運営について(要旨)」の一部である。ここには自治会が受託した業務内容は公社が行なう駐車場管理業務の「事務の一部」と明記されている。この文書の冒頭にあるように県営住宅駐車場は「公社において管理運営する」のであり、この公社の管理運営の「事務の一部を自治会に委託」するというのが当該契約書ならびに上の関係文書の趣旨である。公社代表たちが「三つ葉葵の印籠」みたいに乱用する第3条4項の「その他、駐車場運営に必要な事項」とは、上記文書の「一般管理関係」の最後(赤線かこみ)に記されている「その他管理上必要な事項」のことだ。
自治会が受託した委託業務が「事務の一部」であるかぎり「その他管理上」の管理の対象が「事務の一部」を指すことは明白である。
すなわち第3条4項の「必要な事項」とは「事務の一部の範囲内」において業務遂行の過程で派生する事項を指しているのである。公社代表は黄門さま?
公社代表たちの言うように例の「黄線引き工事」が契約書の第3条4項の該当事項なら、駐車場関連工事費用のすべては自治会側負担となる論理の暴走は止められない。以上述べたことは、平成17年11月から同18年05月までの間に兵庫県住宅供給公社住宅管理課あてに送付した文書でなんども指摘したことである。
この批判をはぐらかす目的で作成されたと思われるのが例の公社住宅管理課からの一通の手紙である。前回に見たあとの部分に注目する。上の赤線1「白紙委任でもなく」とは、「黄線引き工事」が自治会の裁量(白紙委任)で施工されたことを認めれば例の民法 650条(委任者の費用負担)の追跡を振り切れない。これを回避するための予防線である。
つづく赤線2「駐車場管理委託契約の(に?)基づく委託業務の内容であり(A)」は、その前の「自治会による黄線を引く行為は、委託契約書第3条4項の駐車場運営に必要な事項(B)」を不当な前件とする循環論法だ。
(B)を前提に(A)を言い (B)の根拠を問われると「白紙委任でもなく、当公社と貴団地自治会との間で締結した」(A)だと答える。「黄線引き(費用)」がなぜ第3条4項の該当事項なのか? には迂回して近寄らずひたすらはぐらかし戦法に終始している。書き手の意図は赤線3によく表われている。
「黄線引き工事」を委託業務だと言えば民法に抵触するし、委託業務でないと言えば委託業務でないものに第3条4項は適用できない。
つまり自治会側が委託業務に必要として黄線引き工事をやったことを認めれば民法の規定どおりその費用は委任者の公社が負担しなければならない。だからと言って自治会側で勝手にやったことだと突き放せば、公社代表らがこれまで言いつづけてきた「自治会による黄線を引く行為は、委託契約書第3条4項の駐車場運営に必要な事項」が宙に浮くことになる。そこでこの手紙の書き手は進退きわまって「一般的に民法 650条の委任には該当しない」という「無責任な放言」を選択したのである。
だから委託業務であるようなないような、要するにこれは公社と自治会(役員某)との間の話し合いによる「私的な約束事」であるかのような言い回し(赤線1)となり、それを言外に臭(にお)わせたつもりが結果的に牽強付会の強弁(赤線2) となった。「第10条による協議に基づき云々」はその伏線だ。
「当公社と貴団地自治会との間で締結した駐車場管理委託契約の(に?)基づく委託業務の内容であり、」とはよく言えた詭弁である。委託業務と言えばよいものをわざわざ一言付加して「委託業務の内容」とひねったのは、正規の委託業務との「差異」をひそかに暗示する効果をねらったいわば隠し味である。これでやっと「民法 650条にいう法律行為の委任に該当しない」という逃げ口上にたどりつけた(?)という次第である。
土俵を押し出された力士が自分のまわりにぐるりと円を描いて土俵に残ったフリをしているような話である。「私的な約束事」なら双方納得づくのことで民法がどうとか騒がれる問題ではない、とこの書き手は手前勝手に思慮したらしい。が、はじめに第3条4項の必要な事項(ならりっぱな法律行為である)だと断言しながら最後は「法律行為の委任には該当しないと思慮いたします。」では話のつじつまがまるで合っていないのである。当該契約が手紙の書き手の言うように「法律行為の委任に該当しない」と事実に反して仮定しても、民法「第十節 委任」はそんなエテカッテな言い分を排除している。
(準委任)
第六五六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。